とある飛空士への追憶

   
 とある飛行士への追憶 
 
 「とある飛空士への追憶」  著/犬村小六 イラスト/森沢晴行
  小学館 ガガガ文庫

 設定はシンプルで、一人の少女を守り送る為に戦う飛行機乗り
 その二人の小さい頃の出会いや、やがて芽生える身分違いの恋を描いた一冊で
 登場人物でさえ、二人以外は細々と書かれていない徹底ぶり
 有名な某洋画をスタジオジブリがアニメにしたよう… って言えば大げさ
 かも知れませんが ラノベのレーベルには似合わない上品な作品です。
 何でも有り、エロ当たり前 読者は萌な表紙で釣って内容はそこそこ
 そんな作品が多い中 この「切なさ」の後では 誰もが続編を望むのかもせれません
 すでにGAGAGA文庫の公式サイトでも 続編であろう
 「とある飛空士への恋歌」の刊行予定が公表されてますので楽しみこの上ないです。

 空艇騎士団のエースである狩乃シャルルは
 次期皇妃ファナを水上偵察機に乗せ 敵哨戒中の海を越える任務を託されます
 シャルルと共に旅をすることで18歳の少女らしさを取り戻すファナの描写や
 二人に芽生える恋心…  しかし立場的に身分違いである二人、
 それ以上に引き込まれるのは 敵中を一機で突っ切る際の空戦描写
 性能が劣る水上偵察機対高性能な敵編隊 防戦一方な描写なのですが
 恋の行方以上にハラハラします。
 敵国が日本を思わせる設定が私にはちょいと気に入りませんが
 まあ仮想って事で好としましょう。
 しかし真電とか帝政天ツ上 東方大陸を支配する大国 サムライなど
 まんまな気もしますね シャルルの母が語った話が戦国時代?とかで大笑い
 この一冊はオススメです。

最後に蛇足ですが、主人公のその後が不明な部分は引っかかりますね
 自分的には正直ハッピーエンドにとは言えぬ終わり方と思っていますし
 続編も欲しかった。